『MODE MOOD MODE』全曲レビュー 後編

 だいぶ間が空いてしまったのですが、『MODE MOOD MODE』全曲レビューの後編です。

 

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 また長々と書いてしまい反省してますが、実はアルバム全体のふわっとした短めの感想も書いてみて音楽文に投稿してみたところ掲載して頂けたのでそちらも読んでみてくださーい。

 

ongakubun.com

 

ではでは、7曲目からいきまーす。

 

 7.『MIDNIGHT JUNGLE』

 ここから折り返しで後半戦。起承転結でいうと転のゾーンに突入です。『Dr.Izzy』ツアーの後半戦から披露されていたこの曲、『天国と地獄』とか『徹頭徹尾夜な夜なドライブ』と近い感じの雰囲気ですね。観客が踊ってる姿が容易に想像できるような感じの。ワンマンだけじゃなく、フェス等含めてあらゆるライブで演奏されるいわゆる定番曲になりそうな感じがします。

 

 この曲で印象的だったのは2つで、1つは<煉って千切って桜吹雪>という歌詞。めっちゃ爽快。多分これ、田淵(Ba./Cho.)がよく言ってる「悪口もポップに言いたい」っていう話が歌詞になったのかなと邪推しました。いくら煉って千切るような悪口を言っても、ちゃんと桜吹雪のようなポップなものに落とし込めたら良いですよね。

 

 2つ目が、音が急に上がる部分が多くてそこがキャッチーに聞こえるとこです。といっても分かりにく過ぎると思うので具体例を言うと、下に示した赤字の部分です。

 

<もったいない 奴を殺せるのならば>

<MIDNIGHT JUNGLE 生い茂ったら飛んじまえ飛んじまえ

 

 この音が上がる部分がとってもキャッチーなフックになっていて、それ故にサクッと何回も聴けてしまうのが個人的にこの曲の好きなところです。ただの勘ですが、春からのツアーのセッション後に披露されそうだなと勝手に思ってます。

 

8.『フィクションフリーククライシス』

 マイナーのヘンテコなリフで始まったかと思ったらサビでいきなり引くほどポップに花開く8曲目。実はこの曲、このアルバムの中で唯一腑に落ちてなかったんです。なんというか、7曲目と9曲目を上手く橋渡ししてアルバムをの流れを綺麗にするための機能特化型の曲というか、個人的にとにかく最初は全然腑に落ちてなかったです。まぁ結局それは僕が浅はかだった訳ですが。インタビュー各所に目を通した方はご存知だと思いますが、この曲、アルバム制作段階の最後の最後に別の曲と入れ替えた曲だそうです。入れ替える前の曲がまともすぎたことと、その曲ではアルバム全体の流れが少し悪くなってしまうことが理由だったようです。その話を知った当初は「流れももちろん大事だけどそこに特化しすぎるより元の曲入れた方が良かったんじゃないの?」と思っていました。で、実はその入れ替えた曲というのが『春が来てぼくら』のカップリングでおなじみの『ラディアルナイトチェイサー』だった訳ですが、ここでプレイリストを駆使して『MODE MOODMODE』の8曲目にこの曲を差し込んでみるのがファン心理ですよね。僕も例に漏れずやってみました・・・確かに感じるコレジャナイ感。『ラディアルナイトチェイサー』そのものはユニゾンのロックサイドの必殺技感満載でめちゃくちゃにかっこいいんですよ。ただ、前後の曲を考えると確かに少し流れが重たくなってしまうし、アルバム全体として見たときも少し「いい子ちゃん感」が強すぎるものになってしまうなと。で、改めて元の曲順で聴いてみるとめちゃ納得。そこで腑に落ちてからはこの曲の言葉に対する音の嵌め方とかサビの最高にポップな感じとかがしっくりきて大好きになりました、盛大な手のひら返しですが良いものは良いので仕方ないですね笑。

 

9.『Invisible Sensation

 ….あざとすぎる繋ぎですね。これやられたらもう「良い!!」っていうしか無い感じがめちゃくちゃあざといです。僕自身この曲があまりにも好きすぎて勝手に11曲目あたりに来ると思ってたので曲順みたときは面食らいましたが、この曲目で並べると確かにここしかないよねと思います。これが「MIDNIGHT JUNGLE⇒ラディアルナイトチェイサー⇒Invisible Sensation」だと確かにアルバムとしてダレてしまう気がするのでやはり『フィクションフリーククライシス』の存在が偉大。さっきも書きましたが。曲自体の感想は年末に長々と書いたのでこちらを読んでいただけたら嬉しいです。

 

panyanyan.hatenablog.jp

 

10.『夢が覚めたら(at that river)』

 ここからが起承転結でいうところの結になるのかなと。今回唯一のバラード枠。8分の6拍子がすごく気持ちよくて、思わずリズム取りたくなります。ここ最近のアルバムはバラード枠が1つしかないので、入ってくる曲も必然的にクオリティが高い気がするんですが、この曲も案の定良い曲です。一聴目はちょっと地味?とも思ったんですが、何周かしてみると、この曲の前までが派手な曲が多かったこともあってこういうシンプルな曲は安心感もあるし箸休めにもなるし、すごく絶妙な役割を果たしてる曲だなと。多分、いつものアルバムにこの曲が入ったとしたらピアノとか3人以外の音が入ってくるんだろうけど、こと今回のアルバムについてはあえて無骨な感じにしてバランスを取ってるのかな。無骨なアレンジでもちゃんと情景がパーッと浮かんでくるのは斎藤さんの歌唱力の持つ力だと思うので、今だからこそ逆に出来る曲なのかもしれないですね。あとこの曲、構成が珍しい気がしました。どこがサビなの?ってかサビよりBメロの方が盛り上がってない?みたいな。でも、そのちょっと変わった構成が曲の雰囲気と相まってドラマチックさを加速させてるなとも思います。個人的には超好きです、この曲。

 

11.『10% roll, 10% romance

 10%ここかよ!!!という印象です。前曲からのテンションの差がすごすぎてちょっと耳びっくりみたいな感じなので、間に1曲サラッと聴けるポップな曲挟んでくれたらもっと自然な流れになったんじゃないかなぁと勝手に思ってます。それこそ最近出た『Micro Paradiso!』とか、過去の曲で言うと『フライデイノベルス』とか『instant EGOIST』とか、ポップで軽めなんだけどちょっとエンディングが近づいてることを意識させてくれる感じのやつ…いや、烏滸がましさが過ぎる発言ですが笑。

 

 曲自体はここ数年で1番ユニゾンの得意技てんこ盛りの曲だなと思います。『桜のあと(all qurtets lead to the?)』以降、こういう華のあるタイプの曲のリリースが無くて、『桜のあと(all qurtets lead to the?)』の後釜になるような曲って無いなぁと思ってたんですが、この曲はまさにそのポジションになるような華だったり派手さだったり、そんな力を持ってる曲だなと思います。それこそ、『One roll, One romance』ツアーで演奏され時の会場の盛り上がり方を見ると、ここから3~4年はライブでの必殺技になっていきそうな気がします。4年後もどうせこの曲が好き的な。

 

12.『君の瞳に恋してない』

 「何故シングルカットしなかったのか」シリーズの中でも最強クラスに強い曲だと思います、この曲。大人気ラブコメ映画のエンドロールで流れていても不思議じゃないくらいの大衆性があると思うし、何か間違ってきっかけが出来てしまえば絶対に一般層含めて流行る曲だと思います。一見すると、この曲が強すぎて全部搔っ攫ってっていきそう印象がありますが、これくらいの強くて振り切った曲じゃないと今回のアルバムのここまでの流れを受け止められない気がします。

 

 というのも、このアルバムは『オーケストラを観にいこう』と『君の瞳に恋してない』というハイパーウルトラポップな2曲を軸に置き、そこを中心とした円を描くように、様々なジャンルの楽曲が展開されているアルバムです。そして、その中心である2曲の中に、3人以外の色々な音であったり、普段やらないジャンルであったりを詰め込むことによって、「良い曲に落とし込めるのであれば何だってやっちゃうよ!」という宣言になっているのです。言い換えると、この2曲が『MODE MOOD MODE』の大枠であるコンセプトを定めていると言えます。特にこの『君の瞳に恋してない』については、ブラスというサウンド面に関する部分だけではなく、スカというジャンルも取り入れることによって、アルバムのコンセプトを定義する役割をもった曲としての色がより一層濃いものになっていると思います。逆に言うと、この曲を『MODE MOOD MODE』から外した場合、「ごちゃごちゃしたアルバムだけど結局何がしたいの?」となってしまう気がします。そういう意味で、この曲が最後の1ピースとなって初めて『MODE MOOD MODE』は完成するのかななんて感じました。そんな勝手な想像は抜きにしても本当に大好きな曲です。この曲と『春が来てぼくら』が同時に聴けるなんて、それだけで2018年は最高。

 

 長々と書いてきましたが以上です。あと2週間で遂に待ちに待ったツアーも始まりますね!ツアー直前って本当にワクワクしますよね、めちゃ楽しみ。それではまた適当に更新しまーす。